デザインプロジェクトにおける曖昧さを可視化し、ブレをなくすための方法

コンテンツデザイン部 S.N

デザインプロジェクトを進める上で、「もう少し洗練された感じに」「もっと温かみがほしい」といった、言語化しにくい抽象的なフィードバックに直面することは少なくありません。こうした曖昧なトーン&マナーや感覚的な「雰囲気」に対する認識のズレは、プロジェクトの方向性を見失わせ、最終的なデザインのブレや手戻りの大きな原因となります。感覚に頼るコミュニケーションは、時間の浪費に加えて、クライアントとの期待値のギャップも生み出しがちです。

抽象的な「雰囲気」が引き起こす課題

デザインにおけるクライアントの漠然としたイメージや、言葉にしにくい感情的なニュアンスは、しばしばプロジェクトの進行を阻みます。「なんとなく」のイメージを共有しようとしても、それは受け手によって多様に解釈され、デザイナーとクライアントの間で認識に隔たりが生まれる原因となります。この曖昧さがデザインの方向性を不安定にし、修正を繰り返す「手戻り」のループを引き起こしてしまうのです。

デザインマトリックスの役割:共通言語としての可視化

ここで私たちのデザインプロセスにおいて強力な羅針盤となるのが、デザインマトリックスです。これは、デザインの方向性を決める際に、横軸と縦軸に異なるデザイン要素やコンセプトを設定し、それらが交差する領域に具体的なデザインの選択肢やイメージを視覚的に配置するツールです。例えば、「伝統的」と「革新的」、「ミニマル」と「装飾的」といった対立概念を軸に設定することで、単一のイメージでは捉えきれない、多様なデザインの「ありよう」を俯瞰的に提示できます。

私たちは、このデザインマトリックスを単なる視覚化ツールとしてだけでなく、言語化できない「雰囲気」を具体的な形に落とし込む共通言語として活用します。クライアントが求める「落ち着いた雰囲気」が、具体的にどのような色彩、フォント、レイアウト、写真のトーンで表現されるのかをマトリックス上の複数のバリエーションで示すことで、感覚的なズレを解消し、双方の認識を効率的にすり合わせます。これにより、クライアントは漠然としたイメージから具体的な選択肢を取捨選択でき、私たちは明確なデザインの方向性として捉えることが可能になります。

ブレないデザインへと導くマトリックスの力

デザインマトリックスを使うことで、漠然としたイメージを視覚的に明確にし、関わる全員が同じ方向を向けるようになります。感覚や抽象的な表現に頼ることなく、論理的でわかりやすい形で意見を交わすことができるので、曖昧さをなくし、より具体的で精度の高いデザインが生まれます。これにより、手戻りが減り、プロジェクトがスムーズに進行するだけでなく、一貫性のあるデザインが生まれ、お客様の期待を超える結果につながります。最終的なデザインがお客様の期待を確実に超え、ビジネスの成功に貢献するために、このデザインマトリックスは強力な指針となるでしょう。